東京大学卒業後、雑誌「近代麻雀」編集を経て現在はフリーランスライター。数多くの麻雀関連書籍の執筆・編集を手がける。代表作に「アカギ悪魔の戦術 (近代麻雀コミックス)
」「おしえて!科学する麻雀
(編集)」「カンチャン待ち麻雀人生相談」など。近年は麻雀指導者としての一面も持ち、旧時代の戦術がまかり通る雀荘に匿名で赴き、実戦の場に身を置くことで新時代の麻雀戦術を啓蒙している。一方で教育ライターとしての活動も行っており、麻雀と教育が同時に語れる新しいタイプの論客として注目を集めている。【ブログ】福地誠Blog
◆小手先テクは有効か?
アクセスの多い麻雀ブログを作るにはどうすればいいのでしょう。おそらく、理想雀士さんなら、こんなふうに答えるんじゃないですかね。
・オタク風のキャラ設定などをする
→企画
・更新頻度を上げる(できたら毎日更新)
→マメさ
・コメントにはすべてレスする
→マメさ
・多くのブログと相互リンクを結ぶ
→営業活動
・ブログランキングに片っ端から登録する
→営業活動
・いろんなブログにアドレス付きでコメントする
→営業活動
どうでしょう。アクセスは増えそうでしょうか?
じつは、このうち本当に大切なのは更新頻度だけです。どんなにいい内容であっても、ある程度は更新されないブログには人は訪れません。
企画に関しては、アイデアが良かったらアクセスは増えますね。たとえば、大学生の兄と中学生の妹が交互に更新するという設定の「今日のジャス家」は、人気ブログでした。情報系では、オタク情報が豊富な「近代麻雀漫画生活」は麻雀関係ではナンバーワンですし、戦術書レビューが載っている「麻雀本を斬る!麻雀ゲームを斬る!!」も、アクセスは多いですね。オタク系の設定や、ニーズの高い情報を集めるなら、ほぼかならず人気ブログになります。
営業活動に関しては、(よく知らないんですけど)やればやっただけの効果はあるんだと思います。みんな初期のころはマメに営業活動して、慣れてくると気分しだいになるようです。
さて、こういった要件を満たせば、人気ブログになるでしょうか。大事なことを抜きにして、小手先の条件だけ挙げている気がしませんか?
大事なこと、それは「面白さ」であり「魅力」です。面白くないブログは、いくら営業活動しても限界があります。逆に魅力さえあれば、いずれアクセスは増えていきます。
なので、アクセス数の多いブログを作る最大の原動力は「面白さ」や「魅力」をどう作るかです。それが根本であって、しかもそれは小手先の工夫ではどうにもなりませんから、ブログについて語る人はそこから逃げ、小手先の条件ばかり語るわけです。
じつは、これは麻雀ブログという狭い世界の話だけではなく、出版業界でも同じです。売れる本をどう作るかといったセミナーでは、マーケティングとかプロモーションとか、頭良さそうな言葉を使いながら、その中身は小手先のことばかり話していて、「面白さ」「魅力」については語られません。ブログだって本だって、中身それ自体の魅力が、売れ行きやアクセス数の相当部分を決めるんじゃないでしょうか。
こんな反論があるかもしれません。
「面白い文章を書けばいいなんて気楽にいえるのは、自分がプロのライターで文章を書くのが得意だからでしょ。そもそも有名人とパンピーは別だと思うし、麻雀がとくに強くもなく、有名人でもない自分に面白い文章を書けなんてアドバイスには、プロの上から目線を感じます」
これはある程度その通りですね。「面白さ」を目指すのは、不特定多数の一般読者を狙う方法で、強気な姿勢です。もっと確実なのは知り合いを増やす道で、だから営業活動が有効なのですね。人は、赤の他人が書いた面白いブログよりも、知り合いが書いた普通のブログを読む傾向がありますから。
それでも、この反論に反論するなら、プロのライターのブログってそんなに面白いの? 有名人のブログってアクセス数が多いの? ってことになりますね。有名人のつまらないブログは山ほどありますし、アクセス数が少ないブログも山ほどあると思います。というよりも、麻雀ブログという小さな世界では、プロとか有名人というのはたいして関係ないですね。
冒頭に名前を出した理想雀士さんが、こんなことを書いてました。
福地先生やさくらこさんのような、おもしろい記事はそうそう書けないし、かといってサンダルさんやいのけんさんのように、ほぼ毎日更新も大変だし。
[週1回ブログを更新する程度の能力 ]勝ち組の麻雀 麻雀日記より
すごく率直な意見です。ほどほどの手間でほどほどのアクセスを得るには、ほどほどの戦略が必要って話なのです。「ほどほど」を目指す方には、これ以上いうことはないですね。でも「ほどほど」以上を目指したい人には、根本の部分の話をしたいわけです。どうすれば「面白さ」や「魅力」が作れるかについて。
ここから先は、麻雀ブログという狭い世界の話を飛び越えて、文章一般の話になっていきます。