東京大学卒業後、雑誌「近代麻雀」編集を経て現在はフリーランスライター。数多くの麻雀関連書籍の執筆・編集を手がける。代表作に「アカギ悪魔の戦術 (近代麻雀コミックス)
」「おしえて!科学する麻雀
(編集)」「カンチャン待ち麻雀人生相談」など。近年は麻雀指導者としての一面も持ち、旧時代の戦術がまかり通る雀荘に匿名で赴き、実戦の場に身を置くことで新時代の麻雀戦術を啓蒙している。一方で教育ライターとしての活動も行っており、麻雀と教育が同時に語れる新しいタイプの論客として注目を集めている。【ブログ】福地誠Blog
◆文章の上手さは重要か?
文章が上手いことはそれほど重要じゃないですね。まったく関係ないとはいいませんけど、普通に日本語が書けるなら、根本的な問題じゃないと思います。よく、文章力がないから…としり込みしているケースは、その大半が文章力というよりも内容と姿勢の問題でしょう。
文章の上手さがストレートに問われるのは、「古川凱章の麻雀新撰組かけた男たち」みたいなブログなのです。こういうノンフィクション作家風の文章は、書くのも大変ですし、文章力の差が如実に出ます。でも、多くの人がブログで書く日記風の文章や、自分が感じたことを書く文章は、文章力とはいえない要素が大きいと思うのですね。
[古川凱章の麻雀新撰組かけた男たち]
じゃあ日記風のブログでは何が大事なのかというと、感じたことを言葉にする能力です。それって文章力とどう違うのよ?と言われそうですけど、多少違うと思うのです。しゃべる能力に近いのですね。
ノンフィクション作家風の文章というのは、別の表現にするならば、自分の外側を語る文章であり「外を語る文章」です。日記風のブログで書くのは「内を語る文章」です。「外を語る文章」は学校やビジネスの文章の延長にあるもので、「内を語る文章」は日常的なおしゃべりの延長にあるものです。
どちらか一方だけの文章というのは魅力がなく、両方が必要になります。たとえば、学校的な文章だけで書かれているのは、「初中級者のための麻雀何切る問題集」や「カツカレーうどん定食」などのブログですね。初中級者のための麻雀何切る問題集は、書いている六分儀さんが天鳳九段の強豪であるため、麻雀の問題集として人気ありますけど、読んで面白いものではなく、実用に特化した文章です。
[初中級者のための麻雀何切る問題集]
[カツカレーうどん定食]
逆に、おしゃべり系の文章だけで書かれているのは「麻雀虎の穴」や「田舎雀荘メンバーの低脳日記。」ですね。事実関係がよくわからず、率直に言ってしまうと「頭悪すぎだろ」と感じさせます。
[麻雀虎の穴]
[田舎雀荘メンバーの低脳日記。]
面白い文章には、両方の要素が必要です。まず「外を語る文章」で何がどうなったか(英語でいう5W1H)が書かれていないと話がよくわかりませんし、「内を語る文章」で感じたことを書いてもらえないと、共感できないし面白くないですね。
じゃあ両方をミックスすればいいのか? 残念ながらこれでも十分条件にすぎません。まだ「面白さ」や「魅力」の核に迫っていないのが大変なところですね。