・近代麻雀オリジナルの新装刊
近代麻雀関連で一番大きな動きは「近代麻雀オリジナル」の復活でしょう。正確には復活ではなくコンビニ本のようなB5版で隔月誌として存続はしていたのですが、「アカギ」「むこうぶち」などの再掲ばかり。近代麻雀の熱狂的なファンである私もさすがに見捨てていたのですが、「ワシズ-閻魔の闘牌-」を近代麻雀から呼び戻して看板に据え、2010年6月号(5月8日発売)に旧来の近オリと同じような形で新装刊されました。
もっとも、「オリジナルと言いながらほとんどがスピンオフ作品じゃないか」「買いたくても売ってない」「10万勝てる(笑)」などの批判や文句もネット上では散見しています。たしかに、悪く言えば「人気作品からの二番煎じ」という印象もあるスピンオフ作品が主流の雑誌というのは、元の作品にさして思い入れの無い人からすると手を出しづらい、つまらないものなのかもしれません。
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ですが、月2回発売の近代麻雀のみの頃と比べて麻雀漫画誌が1冊増えて、「新作麻雀漫画の発表の場」が約1.5倍に増えたのは喜ばしい事なのです。単行本5巻まででもう累計90万部を突破したという「ムダヅモ無き改革」も、スピンオフのスピンオフながらもワシズ様が見せる読者にはとても予想できない驚きの展開と麻雀勝負で人気作となった「ワシズ-閻魔の闘牌-」も、地味な存在ながらも隠れた名作として評判の良いコンビニ版コミック化&Vシネ化された「東大を出たけれど(漫画版)」も、全て数年前に近代麻雀オリジナルから生まれました。雑誌には可能性があります。新装刊された近代麻雀オリジナルからも、なんとか雑誌を支えるような人気作品が誕生してほしいものです。
・近代麻雀以外の麻雀漫画 その1
まず名前を挙げるのはやはり「咲-Saki-」でしょう。アニメの放映は2009年9月に終わりましたが、DVDや様々なグッズ・フィギュアなどの発売は、そう多くはないですが2010年になっても続いています。原作の方も、四校合同合宿から全国大会へと展開して新しいキャラクターも次々と登場し、依然として盛り上がっています。ただ、もう雑誌掲載分は充分に溜まっているはずなのに単行本第8巻が2010年のうちに発売されないなんて、そんなん考慮しとらんよ…。
「天牌」については8年ぶりに実写DVD化されたものの、メインのストーリーについては大きな動きは少なく、たまに大阪の瞬の話をしながらも、基本的には粛々と津神達の勝負が描かれ続けています。「天牌外伝」や「凍牌」も持ち味を活かしたまま安定して連載が続いており、麻雀劇画としては良くも悪くも目立った話題が少ない1年だったのではないでしょうか。
・近代麻雀以外の麻雀漫画 その2
講談社の隔月誌「マガジンイーノ」で連載されていた片山まさゆき先生の「プレイスファジストマネー」も2009年から連載されていましたが、2010年で連載は終了して全1巻として単行本化されました。また、前述の通りに近代麻雀で「燕返し編」が連載中の「ひぐらしの哭く頃に雀」ですが、コンプエースという雑誌でも別に漫画化されており、こちらは実に麻雀ゲームのコミカライズ作品らしいお気楽なストーリーのまま単行本1巻で完結しました。
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他にも少年シリウスで、闘牌シーンはほとんどありませんがいちおう麻雀漫画である「すずめのなみだー県立葵崎高校麻雀部ー」ひゅーがの連載が続いており、2010年になってからもヤングアニマル嵐で「戦国雀王のぶながさん」重野なおき、テックジャイアンというエロゲ情報誌で「あお☆てん! Newスーパーリアル麻雀(原作・ヤマモト南北 漫画・P-ALPHA)」という連載も始まったらしいです。
ただ、このあたり現状ではいずれもマイナー誌の連載作品ということで目立っておらず、存在すら知らない人も多いことでしょう。実際、私も単行本化されるまで知らなかったり、実際に作品を雑誌で読んでいなかったりします。近代麻雀のような麻雀専門誌と比べて麻雀に興味がある読者は少ないであろうことは必然ですし、そこで人気を得て「咲-Saki-」や「天牌」のような人気作品となるのはなかなかにハードルが高そうです。