・コンビニ版コミックの隆盛
以前から竹書房では「アカギ」「天」などのコンビニ用の廉価版コミックが発行されていましたが、最近になってそれを「むこうぶち」「兎 -野性の闘牌-」「麻雀無限会社39」など福本伸行作品以外にまで広げ始めました。
それだけならまだ普通に単行本化もされている作品なので驚きはしないのですが、2010年になって、そのコンビニ版コミックスで話題作が生まれました。それが、2巻までで単行本化が打ち切られながらも、麻雀漫画ファンの間では評価の高かった押川雲太朗先生の「リスキーエッジ」です。タイトルを「反逆の麻雀」と改題したものの、今まで収録されていなかった部分まで含めて全5巻で単行本化されました。
基本的にコンビニでしか販売されていないということで、なかなか見つけることが出来なかった人や存在に気付いていなかった人も多く、一時期はamazonで数千円のプレミア価格がつくような騒ぎになっていました。ついには全巻が重版される事態になったのですから、コンビニ版コミックスとしては異例の売れ行きだったのでしょう。私としても、大好きな作品が単行本という形で気軽に読み返すことができるようになって本当に嬉しい出来事でした。
さらには、同じく押川雲太朗先生が近代麻雀ゴールドで連載していた「天と地」という作品までもが、「麻雀金狼伝」という名前でコンビニ版とはいえ初単行本化されました。アンケートで人気は高くても単行本があまり売れないという押川雲太朗先生の作品ですが、コンビニ版コミックという需要と供給が合致する場所をやっと見つけられたようですね。
このブームを後追いしてなのかどうかは分かりませんが、ぶっ飛んだ漫画を面白く紹介することで有名なテキストサイト「a Black Leaf」さんのレビューで「ムダにスケールがデカい麻雀マンガ」として紹介されていた「海雀王」という漫画がありました。
関連記事:ムダにスケールがデカい麻雀マンガ「海雀王」(a Black Leaf)
一部でカルト的な人気を誇ってはいた作品ではあるものの、やや古い漫画なため単行本の入手が難しい上に、「リスキーエッジ」と同じく途中までしか単行本化されずに未収録があるまま打ち切られていたため、作品について語ることすらも難しい状況でした。しかし、この2010年に廉価版コミックス全2巻で未収録部分まで含めて最後までしっかりと単行本化されました。
麻雀漫画には、単行本化されていなかったり古くて単行本が入手困難な作品の中に、一部の好事家には高く評価されているという作品も多々あります。廉価版コミックスという形ででも再び単行本化されることにより、時を越えて現代の麻雀漫画ファンに再評価されるということがもっとあってもいいのではないかと思いますし、いち麻雀漫画ファンとしてそんな流れを作る「廉価版コミックス」という市場にはとても期待しています。
2010年になって巻き起こった廉価版コミックスブームが、麻雀漫画の新たな市場として開拓されていけばなによりです。私としては、いつか「ジャンロック」や「ラストバイニン」や「凌ぎの哲」なども単行本化されることを願っています…。
・最後に
ここまで2010年の様々な麻雀漫画を紹介してきましたが、興味がある作品はありましたでしょうか? といっても、あまり詳しい内容にまで突っ込んで紹介してはいないので、とりあえず咲-Saki-と天牌と近代麻雀・近オリあたりを読んでみればもう充分だとも思いますけどね。
最近では、最後に紹介したコンビニブックのような麻雀漫画の新しい形も定着してきて、Jコミ(http://www.j-comi.jp/)のように絶版マンガを再評価するシステムの登場という、新たな可能性も生まれつつあります。「雑誌で読み逃したらもう終わり」というのがわりと普通だった麻雀漫画ですが、この2010年代以降はもっと広く、様々な形で楽しまれるようになれば嬉しいですね。麻雀もいいけど、麻雀漫画もいいよね!